でも、出会えてよかった。
小さな本屋で偶然出会った本。
俳句を読む。最初はどこがいいのか、何をいっているのか、さっぱりわからない。
でも、小林恭二さんの解説を読むと、俳句が色鮮やかな意味を持って浮き上がり、私の心に響いてくる。
「おぉー、なるほど、深いなー、すごいなぁこの発想」と、目が覚める感覚を何度も味わえた。
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花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ 杉田久女
乳母車夏の怒涛によこむきに 橋本多佳子
座りたるまゝ帯とくや花疲れ 鈴木真砂女
たんぽゝや一天玉の如くなり 松本たかし
とっぷりと後れゐれし焚火かな 松本たかし
金魚大鱗夕焼けの空の如きあり 松本たかし
足音や水底は金鳴り響き 中村苑子
鈴が鳴るいつも日暮れの水の中 中村苑子
貌が棲む芒の中の捨て鏡 中村苑子
林中の石み病める晩夏かな 木下夕爾
枯野ゆく棺のわれふと目覚めずや 寺山修司