30分の面会時間を終わるころ、「そろそろ帰るね」というと、父が「えっ、もう帰るの?」と言った。
こんなこと言うのは初めてだ。
今日は頭がよく働いているみたい。
会話も4回くらいキャッチボールが続く。
父との会話は、中学生の英会話みたい。
言葉をさぐりながら簡単な単語をつなげていく。
父は会話には、現実と幻視がまざる。
「今日は朝から会社に行って」とか。
話しをあわせて、簡単な質問をする。
今日は、「陽のあたるところはいいね」とか
「暖かくなったら散歩に行こう」
「どこにいく?」「淀川沿いを歩こうか?」
「淀川は淀川沿いを歩いてきましたと言いにくいね。名前のあるとこでないと」
「石清水八幡宮は?」
「歩いたことにならないよ」
「立木山は?」
「あそこは雰囲気がなんだかよくない。重い」
「嵐山は?」
「あんなことはいやだ」
「大阪城は?」
「イメージがよくないね」
ほんとに、よくわかってる。
食べたいものは「天ぷら」で、
「イカの天ぷらは気をつけなくちゃ」いけなくて、
私と「風の道を歩いた」ことがあって、
前の「東京オリンピックの時は楽しいというより夢中で走ってたからわからないよ」
好きなおやつは「おやつというより果物はバナナが好きかな」
今日はほんとによく話せた。
1時間ずっと話していた。
来てよかった。
花を買って実家へ。